最後のご挨拶。

まだご覧になっている方もいらっしゃるのでしょうか・・・
お久しぶりです。

あれから私は新司法試験に合格し,司法修習生になりました。
修習地は第二希望がとおり,南の地方で修習しています。

合格発表から修習生になるまでの生活を報告して,
当ブログの更新を終了させていただきます。

目次:

 1.合格発表
 2.司法研修所関係の手続
 3.海外旅行
 4.引越し準備
 5.司法研修所の事前課題
 6.修習開始
 結語 続きを読む

合格発表前の就職活動

すっかりご無沙汰しております。
あれから就職活動を終え,一人旅に出かけてみたりしました。
最近は,合格発表が近づいてきて戦々恐々としております。

今日は,合格発表前の就職活動について,今年の状況をまとめてみます。
法律事務所への就職活動のみを対象といたします。

狭い業界であることから就活を終えた者にとっても情報が少なく,
内容が推測を交えた不正確なものになることをご容赦ください。



1.基礎知識

一部の法律事務所では,新司法試験の合格前にオファーを出します。
その場合,たいていは合格するという条件付での内々定になるようです。

合格発表前にオファーが出る可能性のある事務所は,
おおむね以下の事務所群に大別されます。

・大手(後述する四大法律事務所)
・準大手(後述する三つの法律事務所)
・中堅(おおむね,弁護士数20人超の事務所)
・外資(外国法共同事業を営み,海外にネットワークのある事務所)

これらの事務所群は,今後の採用活動を見据えて,
新司法試験の受験者もある程度積極的に採用し始めています。
こういった事務所への入所を希望する場合は,
合格発表前に就職活動を始める必要があります。

2.スタンダードな流れ

典型的には,各事務所の選考は以下のような流れで進行します。

・説明会への申し込み
・説明会への出席
・個別訪問への申し込み
・書類選考の通過
・1回目の個別訪問
・個別選考の通過
・2回目の個別訪問
・個別選考の通過
・オファー
・オファーを受諾し,内々定
・新司法試験に合格し,正式に内定

ただし,それほど定型的でもなく,

・説明会が存在しない,もしくは経なくてもよい場合がある。
・個別訪問への申し込みと説明会への申し込みが同時である場合がある。
・説明会も書類選考を通過しなければならない場合がある。
・1回目の個別訪問で即時オファーの可能性がある(サマークラーク参加者など)。
・3回目以降の個別訪問を設定される場合がある。

なお,オファーの出方については,

・個別訪問中にオファーを受ける場合,
・個別訪問後,電話でオファーを受ける場合,
・個別訪問後,メールでオファーを受ける場合,

など複数のパターンがあります。

3.協定の存在

話に伺っただけですが,二つの協定の存在を確認しています。

一つ目は,個別訪問の開始時期に関するものです。
これは,大手=四大法律事務所間におけるもののようです。
(もしかしたら,準大手もこれに含まれているかもしれません)

 ※四大法律事務所:

  西村あさひ法律事務所(NA;よく使われる略称。以下同じ)
  長島・大野・常松法律事務所(NOT)
  森・濱田松本法律事務所(MHM)
  アンダーソン・毛利・友常法律事務所(AMT)

今年は,個別訪問に受験生を呼ぶのは7月2日以降にする,というものでした。
これが厳密に守られていたかは定かではありませんが・・・
少なくとも公式の採用スケジュールは,横並びで設定されていました。

二つ目は,申込者との食事に関するものです。
これは,大手及び準大手間におけるもののようです。

 ※準大手:

  TMI総合法律事務所(TMI)
  シティユーワ法律事務所(CY)
  東京青山・青木・狛法律事務所(TAAK)
  
  なお,TAAKはベーカー&マッケンジーと共同しているため,
  外資にも分類されうるのですが,この協定には参加しているようです。
  TMIにも共同する外国法事務弁護士事務所がありますが,
  いわゆる「軒先を貸す」程度の,外資とはいえない形態のようです。

詳細な内容は不明確なのですが,採用予定者に食事を振舞わないというものです。
食事が設定されると受験生にとって時間等の負担が大きいかもしれないこと,
食事の有無や質によって入所の意思が左右されるとは考えにくいことから,
そうであれば食事にコストをかけないほうがよいと判断したのだと思います。

この協定に参加していない事務所(中堅や外資)では,
説明会で豪華な食事が振舞われることが多々あります。
少なくとも私には,とても豪華なものに見えました・・・

 ※合格発表前に動きがあると思しき,主な中堅(順不同):

  渥美総合法律事務所(AP)
  牛島総合法律事務所(UP) ※修了生サマクラあり
  坂井三村法律事務所(SM) ※修了生サマクラあり
  岩田合同法律事務所
  桃尾・松尾・難波法律事務所
  あさひ法律事務所
  大江橋法律事務所 ※修了生サマクラあり
  北浜法律事務所
  御堂筋法律事務所
  淀屋橋・山上合同 ※修了生サマクラあり

 ※合格発表前に動きがあると思しき,主な外資(順不同):

  リンクレーターズ(LL)
  クリフォードチャンス(CC) ※修了生サマクラあり
  フレッシュフィールズブルックハウスデリンガー(FF)
  モリソン・フォスター(MF,MOFO)
  ホワイト&ケース(WC) ※修了生サマクラあり
  ジョーンズ・デイ(JD)
  ポールヘイスティングス(PH)
  オメルベニー&マイヤーズ(OM,OMM)
  アレン&オヴェリー(AO)
  シドリー・オスティン
  ブレークモア

 なお,中堅と外資との境界線はあいまいな場合があります。
 坂井・三村はビンガム・マカッチェンと共同し始めましたし,
 外資の中にも日本の事務所が母体となっているところが多数あります。
 そもそも語義からして,「外資」という呼称自体不自然かもしれません。

4.選考基準

選考基準は,各事務所によってかなり異なる模様です。
マス採用であると割り切って,書面上の要件を重視するところもあれば,
事務所とのマッチングを重視して,じっくり選考するところもあります。

一般的な選考基準として考えられるものを列挙してみると,

書面:
・新司法試験の短答式試験を通過しているかどうか(いわずもがな)
・ロースクールが有力校であるかどうか
・ロースクールの成績が優秀であるかどうか
・出身大学が有力校であるかどうか
・出身大学の成績が優秀であるかどうか
・経歴に脱落期間があるかどうか(若手であるか,職歴があるかなど)
・志望動機,興味関心分野等が首尾一貫しているかどうか
・その他有益な特記事項があるかどうか(資格の有無,特別な業績など)

面接:
・コミュニケーション能力(書面中心の業務なら重視しない場合も多そう)
・キャラクター(事務所により選好が異なりそうなので内容は不明確)
・志望者の興味関心分野や性格と,事務所のカラーとの一致度合い
・志望者の事務所に対する興味関心度合い

出身大学について重視するかどうかは事務所によりけりで,
ロースクールの成績証明書はほぼ確実に提出を求められますが,
出身大学の成績証明書は必ずしも要求されないようです。

経歴については,若手であることはもちろん有利に働くようですが,
職歴がある場合,その職歴が今後の業務に役立つと判断されれば,
特に差別されることなく採用対象となる場合が多いようです。

職歴のある方はその内容によってかなり採用基準が異なるのでしょうけれど,
新卒の場合は,ロースクール名と成績が相対的に重視されるという印象です。
仮に試験の成績を気にする事務所でも,合格発表前にそれを知るのは不可能ですし,
そもそも試験の成績それ自体はあまり気にしないという事務所も多いようです。
一発試験ですから,合格したという事実をもって十分であると考えるのでしょうか。
留学等で成績を今後も用いるかもしれないこと,などが理由かもしれません。

なお,一般的には,サマークラークを経験しておくと有利だといわれます。
1週間程度,仕事ぶりやキャラクターを観察する機会を得た上で,
個別面接に呼ぶわけですから,採用の可能性が高いということなのでしょう。
言い換えれば,面接だけで採用する相手よりもリスクが低いわけです。

5.内々定を出すスケジュール

まず大手に関しては,7月中にほぼ出揃うところもあれば,
8月中にまでじっくり出し続けるところもあるようです。
どの事務所も,一定の層には7月の第1週にオファーを出しています。
主に,サマークラーク経験者のうち有望な人に,ということなんでしょう。

準大手に関しては,7月から出し始め,8月にも出し続けているようです。
合格発表前にすべて出揃わないのかもしれません。
どちらにせよ,大手よりはゆっくりのペースですね。

中堅に関しては,そもそも説明会の開催が遅い場合も見受けられます。
事務所によっては,合格発表前には個別訪問がなかったりします。
修了生向けのサマークラークを設定する事務所もあります。
その場合,採用はサマークラークを中心にするのでしょう。

外資に関しては,5月・6月の段階からさっさと個別面接を始めたりもしています。
ただし公式な説明会等は,7月から順次開始する場合がほとんどです。
採用も,早めに出ることもある一方,8月に入ってもオファーが出続けています。
修了生向けのサマークラークがある場合もあり,
その場合はやはり,サマークラークから主に採用するようです。

6.オファー後

まず,オファーを受諾するかどうか決断しなければなりません。
これについては,先方から返答の期限を設定される場合もあれば,
無期限で返答を留保させていただける場合もあるようです。

複数のオファーをもらい受諾を決めかねる場合などに,
さらに所内の先生とお話をする機会をいただけることもあります。
採用は大手でも数十人なので,交渉次第なんでしょう。

オファーの受諾を決めると,他の事務所へのお断りをすることになります。
その後やってくる個別訪問等の連絡にも,順次お断りをします。
就活戦線を拡げすぎると,あとでこれに苦労することになりますね・・・

オファー後は合格発表まで何もない事務所もあれば,
内々定の人間を集めたりする事務所もあるようです。
入所を前提とした手続等は,合格発表後から始まるのでしょう。



なお,各法律事務所の概要等について簡単に知りたい方は,
以下の書籍を参照してみてください。
特に,外資・中堅の成り立ちや性格,得意分野は事務所により大きく異なるため,
入所を希望される方は詳細に調査してみる必要があると思います。


『ビジネス弁護士大全2007』(日経BP社・2007)

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その他の参考文献:

『弁護士の就職と転職』(商事法務・2007)

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考査委員による論点漏洩疑惑報道

簡易目次:
 ・YOMIURI ONLINEの記事
 ・この件に関する私的コメント
 ・Sankei WEBの記事へのリンク
 ・asahi.comの記事へのリンク
 ・この件の処理に関する私的な予測
 ・MSN毎日インタラクティブの記事へのリンク
 (逐次,追記により更新中です)

ネット上では既に議論喧しいところではあったようですが・・・
私はてっきり,せいぜいうわさ話の類に過ぎないと考えていました。

今日に至り,読売新聞に報道されたことを確認して,
どうやら噂話にはとどまらないようだと認識を改めています。

以下,読売新聞の記事を,YOMIURI ONLINEから全文転載します。



「新司法試験、考査委員の慶大教授が類題演習…法務省が調査」 - YOMIURI ONLINE
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070623it01.htm?from=top

 法科大学院の修了生を対象に先月実施された今年度の新司法試験で、出題と採点を担当する「考査委員」を務める慶応大法科大学院(東京都港区)の植村栄治教授(57)(行政法)が、今年2~3月、同大学院の学生相手に答案作成の練習会を開いた上、実際の試験問題と類似した論点を説明していたことが22日、分かった。

 植村教授は読売新聞の取材に、「問題を漏えいする意図はなかったが、軽率だった」と事実関係を認めており、法務省も同教授から事情を聞くなど調査を始めた。

 新司法試験の考査委員は法相が任命し、学者や裁判官ら計156人がいる。非常勤の国家公務員に当たり、問題の内容や採点基準を漏らしてはいけない守秘義務がある。植村教授は昨年秋に任命され、他の委員とともに今年度の行政法関連の問題作成に関与した。

 関係者によると、植村教授は、既に問題作成を終えていた今年2~3月、慶大法科大学院で試験対策の答案練習会を7回開き、毎回、150~170人の学生に対し、「行政処分の執行停止」などの論点を説明した。その後も、練習会に出席した学生たちに一斉メールを送信。「試験の参考になるよう送ります」と記述した上で、「外国人の退去強制処分」などに関する6本の判例を紹介した。

 先月中旬に実施された新司法試験の論文式試験では、行政法分野で、外国人の退去強制処分の事例を基に処分の執行停止などについて論じる問題が出された。

 また、植村教授は、同試験の採点基準が秘密にされているにもかかわらず、試験直前に学生たちに対し、「新司法試験の採点が終わる8月末以降、各自が試験で書いた論文を再現して送ってくれれば、採点してあげる」との内容の一斉メールも送信していた。

 法務省は、考査委員の任命の際、公正さを疑われることがないよう、答案作成の練習会を行わないよう要請している。考査委員が個人的に採点を行うことについても、採点基準に関する守秘義務違反に当たる可能性があるとの見解だ。

 今年度の新司法試験は同大学院の修了生271人を含む4607人が受験。ある法曹関係者は「練習会に参加した学生が有利になったことを証明することは難しく、採点作業への影響はないと思うが、新司法試験への信頼が失われたことは重大だ」と指摘する。

 植村教授は、成蹊大法学部長などを経て、2004年から慶応大の法科大学院教授を務めている。

 植村教授は読売新聞に「合格者数を維持したかった。今になってみると公正さが疑われても仕方ない」と話している。

 慶応大広報室は「(答案作成の練習会は)植村教授が私的に開催したもので、大学は関与していない。個人的な採点の件は、本人も深く反省しており、大学としても深くおわびする」とコメントしている。

(2007年6月23日3時14分 読売新聞)



 本当に「合格者数を維持したかった」という意図で行為をしたのであれば,少なくとも道義的責任は否定できないでしょう。合格者数に大きな影響があることを自覚していたわけです。

 本人の責任問題はともかく,既に試験は終了しており,採点にあたってこの事実を考慮することも難しいと思います。せめて,大学や法務省には,再発防止策を真剣に検討していただきたいものです。大学教授の教育活動の独立性なんてものとは,次元の違う問題です。

 慶応については去年,池田真朗教授が考査委員として参加していた民法分野で,教授の専門分野である動産・債権譲渡特例法に関する問題が出題されるという事実もありました。
 この問題は,特に同法に関する知識が問われているわけではなく,現場志向で解答すべき問題ではあったのですが,その後池田教授が考査委員を1年だけで辞められてしまったこともあり,さまざまな憶測を呼んでいました。
 (もっともこの件は,結果に影響はなかったであろうから,シロという扱いでかまわないと思います。作問者も池田教授ではなかったという話を伺っております。)

 慶応大学の広報室は以後沈黙を保つと考えられますので,法務省がどんなコメントを出すのかを注視したいと思います。



(追記:Sankei WEBにも同様のニュースが掲載されました)

「出題担当の慶大教授が答案作成練習会 新司法試験」 - Sankei WEB
http://www.sankei.co.jp/shakai/jiken/070623/jkn070623005.htm



(追記その2:asahi.comにも同様のニュースが掲載されました)

新司法試験の考査委員の慶大教授、自校生に「事前演習」
http://www.asahi.com/national/update/0623/TKY200706230114.html



この件の処理について考えてみたのですが・・・

1.新司法試験の処理(法務省の対応)

採点基準等はいまさら動かせませんから,受験生の不満を吸収する必要があります。

まず,実際に有利になった者を特定できないので,
その層が多めに合格するのは避けられないでしょう。
しかし,相対的に不利になって不合格になる者が出ることになります。

そこで,予定していたより多少多目の合格者枠を設定しなおします。
こうすれば,この件のせいで不合格になった,という学生はいなくなります。

出願者数・受験人数の少なさから,1800~2000の間に設定すると予想していましたが,
この件で合格者が2000を超える可能性が出てきたと考えています。

2.大学の処理(文部科学省の対応)

大学の広報は,私的な問題であるとして個人の責任問題にしようとしています。
ここまで騒がれた以上,教授の考査委員辞任は不可避だと思いますが,
個人の問題で終われば,大学の責任問題にはならないでしょう。

とはいえ,この答案練習会には150人以上の学生が参加したようです。
会場の用意や資料の印刷など,施設利用関連の関与は否定しようがないので,
この点を含め,組織的関与としての認定がされれば,大学の責任も発生するはずです。

とはいえ,認可取消しは関係のない学生等に与える不利益が大きすぎるので,
次年度の募集停止や,定員の削減指導などの制裁が課せられることが予想されます。

 参考:募集停止の先例(信州大学)
 http://jun.artcompsci.org/journal/webpages/2005-6-14-asahi.html



(追記その3:MSN毎日インタラクティブにも同様のニュースが掲載されました)

「新司法試験:考査委員の慶大教授、学生に勉強会や採点」 - msnニュース
http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20070623k0000e040042000c.html
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